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楊麗萍の『シャングリラ』

楊麗萍(ヤン・リーピン:Yan Li-ping)。
雲南の伝統舞踊の大家で、中国では人間国宝にあたる評価が与えられている。
彼女が雲南に住むさまざまな民族の舞踊を監修し、一つの舞台を作り上げた。
それが『シャングリラ』。今日はそれを見に渋谷のオーチャードホールに行ってきた。




私が舞踊を見に劇場に行くのはこれが2度目。
1度目は20年以上前。中野サンプラザに西洋の舞踊を見に行った。
舞台のタイトルは何だっけなぁ?タップとかラインダンスとかのダンスだった。
今回の踊りは”ダンス”と呼ぶよりやはり”舞踊”と呼ぶほうが相応しい気がする。
見る前からそんな気がしていたが、見た後でその気持ちは更に強くなった。
「娯楽」とか「エンターテイメント」とかいう言葉では収まりきらない何かがあるからだ。

会場に着いたのは開演の直前。席に着いて間もなく始まった。
開演前から舞台に吊るされていた巨大な銅鑼のような物が
開演と同時に静かに回転を始める。
と、その裏には人間が一人貼りついていた。
その人間が銅鑼のような物から舞台に降り立ち、
振り返ってその銅鑼のような物を叩いて巨大な音が鳴り響くことで幕開けとなる。

楽器は基本打楽器。太鼓が多く、中には銅鑼やシンバルも見られた。
冒頭の踊りでは中央の大きな太鼓・太陽鼓を観客に背を向けて打ち鳴らす
若者の長い黒髪が私の座る3階席からも艶やかに光って揺れるのが見えた。
「東洋人の男性のロン毛もありじゃね!?」
黒髪は重いとかダサイとかいうイメージで短髪だったり色を明るく染める方が
似合うという固定観念がまだどこかにあるのだろうが
その太鼓を叩き続ける若者の艶やかな長い黒髪に私は見惚れていた。
思わず友人から借りてきたオペラグラスを取り出し振り返った彼を見る。
好い男ジャン!!私が20歳若かったら絶対に惚れてるね!(爆)

演目は世界の始まりから、神との対話のための太鼓の演奏と歌と踊りと繋がる。
舞台両袖にはテロップを流す掲示板が設置され、
楽器や踊りの意味と簡単な説明、演奏者や踊り手の名前と出身民族が紹介される。
イ族の神鼓という楽器が登場し、その音に合わせて女性二人が歌い始めた途端
どういうわけか急に私の目から涙が流れ出した。
理由は全くわからない。心を締め付けられるとかものすごい興奮を伴う感動とか
そういうものでもない。ただ淡々と静かに胸から瞳に涙が溢れてきて
その演奏と歌が終わるまで続いた。
(一度緩んだ涙腺はなかなか閉じきることはなく、全ての演目が終わるまでの間
その後も鼻の奥がジリジリしたり、目頭がウルウルする事が何度かあった。)
その後同じイ族の歌舞で男性による老虎鼓。
舞台最前列では、横向きに並んだ太鼓にそれぞれ屈強な若者がバチを振るう。
少し低めに置かれた太鼓を身を屈めるようにして打ち鳴らす若者の動きは
鋼のような肉体をしているにもかかわらず非常にしなやかで
まさに虎のような印象を受けた。惚れてしまいそう!!(爆)

会場から和やかな笑い声が聞こえたのは、打歌(の舞)。
若い男女のグループが最初は男と女に分かれていたのが
段々入り混じっていき、その内に1組、また1組とカップルが誕生して
意中の娘を射止めた若者が彼女を抱き上げてそれぞれ去っていくという
そんな踊りだ。
その踊りの最後。それぞれ彼女を抱き上げて去る若者の中には
彼女の重さになかなか先に進めず「ウォーー!!」と気合を入れながら
必死に歩く若者がいたりして観客席から笑い声が上がった。
ラストの一組などは1歩毎に彼女の身体がずり落ち、
数歩毎に「ウォーーー!!」と気合一喝抱き直すも途中でとうとう倒れてしまう。
すると見かねた彼女が疲労困憊の彼を軽々と抱き上げて舞台袖に去っていった。
観客は大笑い。惜しみない拍手を送っていた。

2年前の日本公演ではなかった休憩を挟んだ2部制の今公演。
1部のラストは楊麗萍のソロで月光の舞。
白く光る巨大な満月に映るシルエットだけの踊りです。
神秘的で美しく、しなやかで近寄り難い…。
“聖”という言葉はこんな存在をいうのだろうと思わせる踊りでした。

約8メートルもある青竹の笛の演奏。
これは楊麗萍自身が編み出したモノなのだそうだ。
その笛は竹を切り出したままの状態で吹く。
つまり先端には枝や葉もついたままなのだ。
自分の身長よりも何倍もの長さの竹を持つこと自体相当な力が要ると思う。
その長い竹の中心より少し根元寄りの部分に口をつけ男性が吹く。
と、女性が歩み寄り、根元の切り口の部分に口をつけ吹き始めた。
同じ1本の青竹を2人の男女が同時に吹いているのだ。
男性が吹く音は高く、女性の吹く音は低い音。
これは初めての光景でなんとも不思議な感じだった。

その他、女儿国の舞や、煙草入れの舞があったが
ラスト近くはチベット民族の舞踊だった。
法号と呼ばれる巨大な笛が登場。吹く人の格好は霊智上人だった(笑)。
「おぉ!霊智上人だ!」と思ったら、何人も霊智上人が出てきた(笑)。
スイス・アルプスの長いホルンとはまた違う、低く枯れた感じの音だった。
聖地巡礼に向かう人々が作る長い列を上手く表現していたと思う。
赤い布を長く伸ばした両袖を見事に振りながら舞う群舞は圧巻だった。
高地のチベットらしく舞台には雪が降り積もる中での踊りだった。
でも、雪が降っているのに最後は衣服を脱ぎ神のいる山へ向かうって…?
寒いっすよ!!

その白く降り積もった雪の舞台に登場するのが最後の演目、孔雀の舞。
そもそもこれが見たくてチケットを買い此処まで見に来たのだ。
白い舞台に登場した白いドレスの楊麗萍。
ドレスの裾には孔雀の羽の模様が縫いこまれている。

彼女の孔雀の舞は、本当に神懸りだった。
なんていうか…”神聖“を具現化したらこうなるんじゃないか?という感じ。
あのドラマでの邪悪な《九陰白骨爪》の元ネタがこの舞からきているなんて
知っているのに、たしかにそのとおりなのに、
それでも孔雀の舞は邪悪なモノを一切寄せ付けないような
そんな神々しい凛とした舞だった。
にしても、あの動きは、どうよ?
今までYouTube等で何度も見たけれど、生で見てもやはり人間の動きとは思えない。
やっぱり精霊か、さもなくば宇宙人だよ!
ピキピキ動作が止まる踊りはロボットダンスとか他にもあるけど
それとはまた一味も二味も違うあの動き。
かと思うと「骨無いんじゃないの?」と思ってしまうようなクネクネとした動き。
実際に目の前で踊っているのに「おっかしいだろ!?ありえないだろ!?」と
思わず唸ってしまった(笑)。

月光の舞は、シルエットのみなので黒。孔雀の舞は白。
ありがちな西洋のイメージで黒は悪魔とか邪悪の色で白は天使とか聖なる色って
意味を持つ場合があるけど、この舞台ではそんな単純な聖邪の区別はなく
雲南で生きる人達が昼も夜も明も暗も光も闇もひっくるめて
自然をありのままに受け入れて敬い暮らしているというそんな想いが伝わった気がする。

『原生態(ありのまま)』という楊麗萍のテーマのとおり、
視覚的に洗練された娯楽性に富むダンスというつもりで見にきたら
「あれ?」と思う人もいるかも知れない。
現に会場で公演が終わり出口に向かう道すがら
「いくつかは面白くないダンスがあった。」というマダムの声が聞こえてきた。
でも、それが『原生態』って事なんだと思う。素朴で粗削りの単純な踊り…。

とにかく、どこかで懐かしいと思った。
何処で?何が?と問われると答えに困ってしまうんだが…。
東洋人の遺伝子の何処かに埋め込まれた何かのせい?
もしかして前世がイ族だったとか?
日本も火山やら地震やら洪水やら自然の驚異と一緒に暮らしているわけで
山の神や海の神と古代から続くアニミズムの宗教観が
雲南のそれと似通った部分があるから?
さっぱりわからん…(笑)。

でも、見に来て良かったと思います。
楊麗萍姐さん、来てくれてありがとう。素晴らしい舞台をありがとう。
そして、姐さんを生んだ雲南の天地にも感謝したいと思います。

comment

Secret

銀妹へ

「あ!霊智上人だぁ!!」
と、嬉しそうに微笑んだのは、あの会場で私と、後何人いたのか…?(笑)

太鼓叩きの兄さんは、そりゃあもうツヤッツヤの黒髪でしたぞ♪
男の流れる黒髪に見惚れるって、なんか新鮮な感覚でしたわぁ♪

>イ族の神鼓
なぁんであの時涙が出たんだろう?不思議だったよぉ?
大昔住んだ事があったっけ?
で、黒髪の美しい兄ちゃんに惚れたことでもあったっけ?(笑)

No title

YOUTUBE画像観て、大姐の記事読んでたら、
観てきた気分になりましたぞ(爆)

太鼓叩きの兄貴に一目ぼれ?
春華兄貴とは真逆のロンゲなのに??(爆)

>山の神や海の神と古代から続くアニミズムの宗教観が
>雲南のそれと似通った部分があるから?

ブータン、雲南を通って日本に続く帯状の地域を
照葉樹林でつながってるのというので、文化が似てると
言われてますね~
プロフィール

どぅいちゃん

Author:どぅいちゃん
『射雕英雄伝』を見て武侠の世界に嵌りました。
パパこと東邪・黄薬師に心を奪われ、それ以来武侠の「イカレオジ専」担当です。
リアルな武侠仲間がいないのを憂いて、ゲリラ的に武侠布教活動を行っております。

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