『カンフーパンダ(功夫熊猫)』 鑑賞

昨夜の『少林少女』は酷かったねぇ…。
出演していた俳優女優の皆さんには本当にお悔やみ申し上げたいくらいです。
あれは出演陣の問題ではなく、制作側の問題ですから。
で、こちらはどうかなぁ…?



でね、見てみたんですよ。
結論としては、アメリカ製にしてはまぁまぁだったんじゃない?(笑)

っていうのもね、チョット前までならハリウッド(アメリカ製)映画と聞くと
それだけで期待も出来るしワクワクドキドキしたもんですが、
最近では逆にアメリカ映画と聞くと
「フ~ン、ハリウッドなんだぁ…。どうなの?それ…?」と
眉をひそめてまず疑ってかかるくらいになってしまっているからです。
CGだの映像効果だのの技術はさすがに凄いのかも知れませんが
その映画自体の面白さとか話の筋とかそういうものが
興味が湧かない、見る気が起こらない、見てもつまらない…になっています。
それって技術以前の問題で一番大事な所なので相当重症だと思います。

そんなアメリカのアニメ映画が『カンフーパンダ』。
カンフーというだけにサブタイトルで『功夫熊猫』と漢字表題があります。
中国=功夫、中国=パンダっていう安易な発想とも思いましたが、
ま、そこは日本もあんまり変わらないので気にしないことにします。


で、冒頭のシーン。
主人公のパンダが見る夢の様子でお話は始まります。
木枯し紋次郎かと思っちゃう風体でパンダが現れます(笑)。
で、どこかの飯屋に入り席に着くパンダ。
西部劇で酒場に入った主人公って感じでしたね。
で、いきなりそこの客の一人に挑まれて闘いを始めるんだけど
これも西部劇的な展開に見えてしまいました。

でもね、ここからチョット見直した♪
その夢の中のパンダはメッチャ強くて
寄せ来る暴漢を蹴散らし蹴散らしするんだけど、
卓は壊すは、壁はぶち抜くは、最後に天井を突き破り屋根の上にドォーン!
武侠の基本パターンを忠実に押さえていました!(爆)

ここで「なかなかやるね…♪チョットは勉強してるんじゃん?」
と、好感度UP(笑)。

【伝説の龍の戦士】とやらを選ぶ式典で、長老より選ばれちゃったのがパンダ。
その長老がなんと、亀!(爆) まさに亀仙人!(笑)
『赤壁(レッドクリフ)』以来、亀づいている我が家はまた大ウケ。
「独孤求敗だ!独孤求敗な魯長老だ!」
チョット待てぃ!
亀=独孤求敗はまだわかる!なんで長老=魯長老なんだよ!?
魯って特定したら、キャラが変わっちゃうでしょうが!!(笑)

とにかく伝説の戦士に選ばれた以上、修行に励むことになったんだけど…。
修行を指導してくれるのはレッサーパンダな達人。
彼の弟子は5人でトラ・サル・ヘビ・カマキリ・ツルです。
それぞれ功夫でその名の拳法があるのでこのチョイスも納得。
彼らは伝説の戦士に選ばれるべく師父であるレッサーパンダの下で
修行を積んできたのだけど、突如現れたヘタレパンダが選ばれちゃって
気分良いわけがありません。

ただよくありがちな陰湿ないじめとかそんな卑怯な仕打ちに出なかったのは
さすが良い指導者についた高弟という感じでこれまた好印象。
そうそう!パンダに面と向かって不満なら不満だ!とハッキリ態度に示して、
下手に善人ぶらないのが好漢ってモンですよ(笑)。

指導するはずのレッサーパンダも最初は期待もせずに
すぐに音を上げて帰るだろうと思っていたのですが
これが意外にパンダったらちっとも諦めない。

ま、なんでそこまで諦めないで残るのかというレッサーパンダの問いに
「変わりたいんだ。ここでなら変われそうな気がする!」
とパンダが言ったのにはチョット苦笑しちゃったけど…。
この世界の危機が迫っているというのでそれを救う為に選んだ戦士が
そんな理由で居残られているかと思うとチョット弱いよなぁ…。

でもそこがアニメのマジック。お子チャマ向けに
「諦めずに頑張れば、きっと自分のコンプレックスも克服出来るよ!」的な
テーマを持たせたかったのですとでも言えばよいのでしょうねぇ。

とにかく亀仙人に諭され、パンダの意外な隠れた能力も発見して
腰を据えて指導する気になったレッサーパンダ。
やっとここでレッサーパンダはパンダに弟子入りを許します。

「弟子入りするんなら、三回叩頭しろよ!」(byサル)

まぁまぁ。そんな細かい事はアメリカ人は知らないんじゃない?(笑)
まず、頭を下げるお辞儀の習慣もない人達に跪いて叩頭なんて
その行為の意味から説明しなくちゃいけないから端折ったんでしょう。

とにかく師弟となった二人は修行に明け暮れます。
お箸を使って食べ物を取り合う修行は、これまた好印象。
「フビライの所で金輪もやってたよね♪最後は老頑童に取られちゃったけど♪」
サルもこの修行法のチョイスに「あの師父、できるな…」と笑っていました。

さて…この映画のラスボスはヒョウです。
長く牢獄に繋がれていたヒョウが脱獄して街に舞い戻り復讐に走るのを
主人公のパンダがくい止めるのがこの映画の主筋。

かつて門前に捨てられていた孤児のヒョウを、レッサーパンダが引き取り育てて
その溢れる才能を見て弟子として武術を教え将来の【龍の戦士】にと期待していたのです。
しかし、ヒョウの心の中にある闇を亀仙人が見抜き【龍の戦士】には選ばれませんでした。
亀仙人が自分を選ばなかったこととそれに従った師父のレッサーパンダに
ヒョウは怒りと憎しみを覚えます。そして激情のままに殺戮の鬼と化し
亀仙人に点穴されて天山みたいな場所にある牢獄に繋がれていたのです。

で、そいつが脱獄して街に舞い戻ろうとしているのですが、
パンダの事を馬鹿にして信用出来ない兄姉弟子の5人は
なんとか自分達でヒョウを止めようと挑みます。

つまり、そもそもはこのヒョウも、トラもサルもヘビもツルもカマキリもパンダも
全員レッサーパンダの弟子で互いは兄弟弟子だったわけですね。
大師兄がヒョウで、末弟子がパンダなわけです。
この映画ではヒョウが破門されているかどうかは詳しく触れていないけど
息子同然に育てた愛弟子がこのような怪物になってしまったことに
師父のレッサーパンダはとてもショックを受け自分を責めているようです。

で、五人(そもそも動物なのに人って数えるのはなんか変だけど^^)の弟弟子達と
大師兄(破門されてなきゃだけど^^)の闘いですが、
これがなかなか武侠チックで楽しかったですヨン♪
釣り橋の上で闘うんだけどネ、『雪山飛狐』の胡一刀vs苗人鳳というか
『笑傲江湖』の恒山での陣盈盈vs魔教の刺客みたいな
そんな感じで良く描けていたと思います。

でも、結局ヒョウを止めきれず彼はレッサーパンダの所まで辿り着き、
師弟の悲しい再会になるわけです。
見た目小さく弱そうなレッサーパンダが大きくて精悍なヒョウと闘っているのは
武侠ドラマでよぼよぼに見える老人が実は達人だったという設定の闘いを
しょっちゅう見ている私や三仙は気にはなりません。
で、師父の絶体絶命のピンチにパンダが登場してラストバトルとなるわけで…。

最後の闘いは笑いも交えつつ、武術の奥深さも垣間見せたりして…。
(って、そんな意図があったかどうかは知りませんが)
とにかく『少林少女』よりは、よっぽど納得のいく決着でした。

最後の最後にヒョウを倒したパンダに五人の兄姉弟子達が、
「マスター」と挨拶をするのですが…。
ここが一番引っかかりました。最後なのになぁ…。
「マスター」という意味をどう解釈して良いのかということです。
マスター=達人の域に達した者というだけの意味であれば問題ないんだけど
マスター=師父という意味だったらこれはとっても変なことです。

パンダはレッサーパンダの弟子で五人にとってはあくまでも弟弟子なわけです。
中国の武術等でみられる師弟制度は互いの関係が擬似家族なわけで
師父=父(女性であれば母)であり、弟子=その子供達で弟子は互いに兄弟なのです。
サザエさん家でいくらワカメちゃんが立身出世したって、カツオが
「ワカメ、立派になったなぁ!」と兄として誇りに思い褒める事はあっても
ワカメちゃんがカツオの親になる事は絶対ないのと一緒です。
『碧血剣』でいえば、崋山派の穆人清の弟子で袁承志みたいな立場ですよね。
ま、何らかの事情で目下の弟子がその門派の掌門にでもなったら
掌門として呼称も変わるし、それに応じた礼儀をわきまえなければなりませんが。
例を上げると『神侠侶』の全真教で弟弟子でありながら次期掌門に選ばれた
尹志平にたいする趙志敬の表立った(笑)態度がそうです。
別に中国や武術じゃなくても日本の例えば芸人さんの世界で
どんなに売れっ子になったとしても後輩芸人は先輩芸人に対して
「兄さん、姉さん」と呼んで敬語を使う等の礼儀が求められるのと同じです。


たしかに【龍の戦士】に選ばれたパンダではありますが
それに選ばれたことがどういう事なのか、例えばそれに選ばれた者が
レッサーパンダの後継者として未来の掌門になる決まりだ…とか
その辺のことがはっきり描かれていないのに、
いくらヒョウを倒した英雄だからといっていきなり五人の兄姉弟子が
目下の礼をとるなんていうのは、どうも違和感を感じたのでした。

ま、本当の兄弟でも年齢に関係なくファーストネームで呼び合う
欧米の文化ではこういう東洋的な年功序列の礼儀だったりしきたりが
理解出来なかったり知らなかったりするのでしょうから
門派内の関係も「力ある者に従う!」的な感覚で描いているのかも知れませんね。



ってなわけで、
こんな些細な所で、東洋と西洋の文化や価値観の違いを改めて感じながらも
アメリカ映画にしては頑張って作ったほうじゃない?と思ったカンフー映画でした。
同じ東洋の日本が作った実写映画『少林少女』が、
もう目も当てられないほど酷かっただけに西洋の国の作った映画(アニメでも)の
健闘ぶりに拍手したいと思います。


っつうか、酷過ぎなんだよ…恥ずかしいよ『少林少女』…。

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「カンフー・パンダ(KUNG FU PANDA)」映画感想

カンフー映画週間の2作目はドリームワークスのアニメ「カンフー・パンダ(KUNG FU PANDA)」でございます。 ハリ

comment

Secret

くまんちゅうさんへ

確かに、よく勉強しているなぁと感心しました。
この位の内容なら異文化の国が作った映画ということで
十分評価出来ると思います。

って、私も中国人(もしくは中国文化の下で育った人)じゃないので
あんまり偉そうな事は言えないんですけれどネ(笑)。
あの映画を作った人は自局で放送の『少林寺伝奇』でいいから
もう1回よぉく見たほうが良いと思います。

大健闘じゃないでしょうか

細かい設定とか象形拳を逆擬人化したりとか
修行シーンも上手く出来てたし
囚人の扱いなんかたいしたものです
マスターは師父ではなく掌門という意味に取ればOKですし
製作者の中に判ってる人がいたと思いますね
なにも判ってない坊少林映画よりは何万倍も良かったです

迷子さんへ

やっぱねぇ、同じアメリカ製でも実写となると
アニメより大人の事情が大きく影響するんだと思うよ。
「主役は白人か、譲っても黒人俳優を使え」だとか
「白人俳優の割合は多くしろ。そして活躍させろ。」とか
お金出す興行主やら株主やら労働組合やらいろんなしがらみが
映画を作る最初に構想の枠組を決めちゃうんじゃないかなぁ?

あのジャッキーでさえピンでは主役映画を作れないからねぇ…。
(シャンハイ・ヌーンでは白人俳優とラッシュアワーでは黒人俳優とのセット商品)

人間ではなく動物を擬人化したことで、その辺の大人の事情をかわせたこの映画は
「考えたもんだ…」と感心してしまいました。

影の薄い白人を主人公にしたことでなんとかその辺のしがらみをクリアしたドラキンは
あれがハリウッドの限界なのかなぁ…?と思ったりもします。
ま、なんだかんだ言ってハリウッド映画はアメリカ人の為に映画を作るわけですから(笑)。

私は最初っからJJとビンビン姐さんだけ見たかったので満足しましたけどネ(笑)

同感ですわ

私もカンフーパンダは相当いけてると思う。
実は、ドラゴンキングダムより、個人的評価は高いんですよねえ。
李连杰や成龙の武打シーンと刘亦菲と李冰冰以外には、タイトルくらいしか見るべきもののなかったドラキンより、ずっと武侠映画の本筋をおさえてたように思いました。
少林少女は、見てしまった自分がかわいそうで…

となると、もう恐ろしくて「カンフーくん」などというタイトルの日本製お子様カンフー映画を見る気も起きない・・・(爆)

だいたい言っちゃ悪いけど、往年の釈小龍のかわいらしさと武芸の切れは少林寺伝奇の王小龍とかにもないしねえ・・・

プロフィール

どぅいちゃん

Author:どぅいちゃん
『射雕英雄伝』を見て武侠の世界に嵌りました。
パパこと東邪・黄薬師に心を奪われ、それ以来武侠の「イカレオジ専」担当です。
リアルな武侠仲間がいないのを憂いて、ゲリラ的に武侠布教活動を行っております。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
リンク
FC2カウンター
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

天気予報

-天気予報コム- -FC2-
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
RSS登録用
FC2ブックマークに追加する
FC2ブックマークに追加
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

にほんブログ村
ペタッ♪