『越女剣』を読んだぞ。

金庸さんの短編集『越女剣』。

日本語訳版のこの本は、ハードカバーで中に3作の短編が入っています。
小粒でもピリリと辛い山椒の様に、それぞれ味のある短編です。
『白馬は西風にいななく』

カザフ族の集落で育った漢人の少女・李文秀のお話。
両親を盗賊に殺された李文秀が辿り付いたのはカザフ族の村。
そこに住みつく漢人の計老人に助けられ、彼の家で暮らし始めたが、彼女の両親を殺した盗賊にやはり家族を殺されたカザフ族の人達は、漢人を憎み、計老人と李文秀に対しても心を開こうとはしない。

そんなある日、李文秀はカザフ族の少年スプに出会い、思いを寄せるのだが、彼の父スルクは妻と長男を先の盗賊に殺され、心の底から漢人を憎んでいた…。

私達日本人が読んでもとても他国の話とは思えない、なんとも悲しい恋のお話です。
漢人の盗賊に妻子を殺されたスルクは全ての漢人を憎み、全ての漢人はあの盗賊と同じ様に悪人だと信じている。
だから、残された息子スプが漢人の少女と仲良くしていると知ると怒り狂い折檻して付き合うのをやめさせようとします。
その光景を李文秀は偶然見てしまい、自分の為に彼が辛い思いをするのを恐れ、ある決意をするのでした。

スルクの様に全ての日本人が悪人だと信じ、憎んでいる人は今でも確かにいます。
その人達に対し私達はどのように誠意を見せたらよいのだろう?
そんな事を考えさせられる作品です。


『鴛鴦刀』

これは、鴛刀・鴦刀という一対の長刀・短刀に集まる人々の悲喜こもごものお話です。
林の中を、とある鏢局の一行が通っていきます。頭目の総鏢頭の背中には皇帝に届ける宝刀「鴛鴦刀」が。その宝刀は、それを得た者は天下無敵になるという、武淋に生きるものなら誰もが欲しがる曰く付きのお宝なのです。

その鏢局一行が通る林の道を様々な人が通って行きます。
腕も頭も弱いが憎みきれない太岳四侠と名乗る4人組。
年中無休24時間態勢で夫婦喧嘩を続ける林玉龍・任飛燕ご夫妻。
母を探していると言いながら暢気に旅を楽しむ風の若き書生・袁冠南。
最後に通るのは駿馬にまたがった美貌の少女・蕭中慧。
更に林を抜けた彼等が泊まった宿屋に後から現れた盲目の老人・卓天雄が加わります。

宿屋の酒場で偶然にも鏢局一行が運んでいる物が「鴛鴦刀」だと知った蕭中慧。
父の為にその宝をくすねようと思い立ちます。
しかし、翌日経験豊富な江湖の古株総鏢頭が怪しいと睨んだのは盲目の老人でした。
鏢局始まって以来最大の重要任務の重責でいつもよりプレッシャーバリバリの総鏢頭にはどいつもこいつも全てが怪しく、つまるところ秘密にしていた背中のお宝が「鴛鴦刀」だと余人にばれてしまい…。

このお話は、最初誰が主人公なのかと思いますが、終わってみれば主人公は「鴛鴦刀」なのだという事でしょう。
その中で蕭中慧と袁冠南が出会い、知らず恋に落ちます。
そのキューピット役が林玉龍・任飛燕の喧嘩夫婦。
仲が良いんだか悪いんだかずーっと喧嘩してます。
「喧嘩するほど仲が良い」というなら、天下一仲良しな夫婦です。
その夫婦に言わせると「喧嘩も刃物沙汰も無い夫婦は真っ当な夫婦じゃない」そうです。

どんな価値観なんじゃぁ!

そりゃ、あんた方は御夫婦で腕に覚えがあるから良いけど、普通の夫婦は、喧嘩はしても刃物沙汰はあまりしません(あまり?全然?)。

そして「鴛鴦刀」を巡る騒ぎの中で蕭中慧と袁冠南は窮地を脱するためにこの御夫婦から「夫婦刀法」を伝授されるのです。
しかしこの「夫婦刀法」は互いを一番に思う心が無いと全く力が出ない技。
面白い事に教える御夫婦は、会得はしていてもこの技をまともに使えないのです。
「夫婦刀法」という名なのに教える夫婦は全く使えず、教わる二人は夫婦でもないのに伝授されてすぐこの真髄を理解し存分に奮える。
なんとも笑える師弟と技です。

このお話にはちょっとしたどんでん返しがあります。
結局「鴛鴦刀」は誰の手に渡るのか?
段正順に読ませてあげたい…。(どうせ、馬耳東風)


『越女剣』

最後のお話は「越女剣法」の由来のお話です。
『射英雄伝』の中で郭靖の第七師匠・韓小瑩が得意とする技ですね。韓小瑩が郭靖にこの技を教える時に簡単に説明してました。

このお話の舞台は越の国です。越は呉と敵対関係にありました。しかし、呉の国の兵力は腕も武器も強力、越王は自国の兵力の強化を大夫・范蠡(はんれい)に命じます。
そんな時往来を歩いていた范蠡は剣術の試合に招待した呉国の剣士八人に絡まれ難渋していると、そこに羊を連れた一人の少女が現れました。
少女は、呉国の剣士が彼女の羊を無造作に切り捨てたのに怒り、なんと一人で全員を打ち負かしてしまったのです。
それを見た范蠡は、この少女の師匠に請い、越国の兵士に少女の使った技を教えてもらおうと彼女に近付くのですが…。

『射英雄伝』で韓小瑩の説明を聞いた人は、少女の師匠は誰だかおわかりですね。
少女の名は阿青。
でも、このお話は技がどうしたとか言う無粋なお話ではありません。
悲しい恋のお話です。しかも悲しい思いをしたのは一人ではありません。淡く悲しい思いの詰まった剣法の誕生秘話です。

以上、『越女剣』の中の3作品の紹介でした。




ところで…。

『天龍八部』に出てくる包不同。
「さにあらず、さにあらず…」で有名なあのおじさんです。
あの人、人は悪くないのだがとにかく人の揚げ足取ってばかりで話が前に進まないので出てくるとイライラします。

ちーっと黙っててよ!

そこで、あのおじさんがイライラする程の仕打ちを考えました。
双方身体が動かないように点穴して桃谷六仙と一つ屋根の下に軟禁!さぁ、取りたいだけ揚げ足取りなさい!
終わり無き地獄の舌戦に御招待よ!目には目よ!口には口よ!

どっちが先に音をあげるかなぁ?

comment

Secret

鈴木さんへ

そりゃどうも…^^。はじめまして。

では、ブログはじめたら御一報下さい。
お祝いに参上しますね。

こんちは!

http://jump.sagasu.in/goto/blog-ranking/で取り上げられていたので、見にきました。僕もブログをはじめようカナと思っています。又見に来ますね(^^)ノシ

fince兄へ

確かに…^^。

アニメとかにはありがちなキャラですね。
でも、師匠は…ですもんねぇ。
一度、楊過も呼んで『人外の師匠を持つ人々』というタイトルのインタビューをしてみたいもんです(笑)。

個人的には「越女剣」で長編一本お願いしたい気分。

阿青の無茶苦茶なところがお気に入り。

日本の漫画とか、アニメにはありそうなキャラだけどね。

たくいたさんへ

短編集だから気軽に読めますよ。
短いですが心に残る秀作で、お勧めです^^。

越女剣!

面白さうですね~!
森くんから借りた本を後回しにして、買って読もうかな。
プロフィール

どぅいちゃん

Author:どぅいちゃん
『射雕英雄伝』を見て武侠の世界に嵌りました。
パパこと東邪・黄薬師に心を奪われ、それ以来武侠の「イカレオジ専」担当です。
リアルな武侠仲間がいないのを憂いて、ゲリラ的に武侠布教活動を行っております。

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