妄想劇・「ペリーさんの船底で」

不思議の国・日本。
神秘の国・日本。
東洋の秘境・日本。

浦賀湾に停泊している黒船の船底で四人のアメリカ人水夫の会話…。

ジェームズ「あぁ…。もうヤダッ。」
ルイ「なんだよ。いきなりホームシック?」
ヨハン「駄目じゃん。七つの世界を股にかけた大英帝国の血統だろ?」
トニー「女か?女が恋しいんだろ?」
ジェームズ「ちっげぇよ!別にホームシックとか女切れとかじゃねえぇよ!」
ヨハン「じゃ、なんだよ?」
ジェームズ「この国だよ!なんでこんな国に来ちゃったのかネェ?」
ルイ「あ、何?職務放棄?上官批判?」
ヨハン「放棄ったって、ここからじゃ帰るの遠いだろうて。」
トニー「やっぱ女が恋しいんだ。」
ジェームズ「女じゃねぇって!イタリヤ人と一緒にすんなよ!
     どっから上官批判が出てくるんだよ?」
ヨハン「じゃ、何だよ?」
ジェームズ「お前等、キモくね?この国?」
三人「へ?」
ジェームズ「いや、キモくね?マジで。」
ヨハン「なんかゴーストでも見たの?ヴァンパイアとか?セイレーン?」
ジェームズ「いや、ゴーストとかじゃなくって…。セイレーンって…海にもいんのかよ!?」
トニー「女と思ったらオカマだったのか!?」
ルイ「お前チョッとは女から離れろよ^^。」
トニー「お前はどっちだっていいんだろ?博愛精神で」
ルイ「博愛精神ってそんな意味にとっていたのか、お前…」
ジェームズ「いやそういう事じゃなくってサァ…。なんつうかこの国って怪しくない?」
ヨハン「だから、何処がだよ?」
ジェームズ「なんて言うかなぁ…。みんな同じ顔してんじゃん。」
ルイ「チビで黄色くて、細い目で…?」
ヨハン「髪も瞳の色もみんな黒一色で?」
トニー「それなら清の連中もおんなじじゃん。」
ルイ「年寄りはさすがに白髪だけどな。」
ジェームズ「いやそれもそうだけど、それは清の連中や朝鮮の連中も同じだからサ…。」
トニー「じゃ、別にここに限ったわけではないじゃん。」
ジェームズ「いや、この国だけなんだよ。このキモさは…。
    なんていうかなぁ…。いっつもヘラヘラ笑ってんじゃん?」
ヨハン「あぁ…。そういやそうだな…。」
ルイ「あ、こないだの近くに寄って来た小舟の奴等。」
ジェームズ「そうそう!なんか漁師っぽかったけどサ、あの男達。」
トニー「そういや目が合ったらヘラッって笑ってた!俺に気があんのかと思ったよ。」
ルイ「その気になった?」
トニー「いや…。気分が悪くなった…。」
ジェームズ「俺さ、こないだまで清にいた友達がいんのよ。そいつに聞いたんだけどサ、
     清でも今イチこの国がわかんないんだって。」
ルイ「なんで?隣同士じゃん?」
ジェームズ「それがさ、今まで鎖国してたじゃん?
    清も一部の貿易商人とかしか日本人と接触したことないんだと。」
ルイ「こんな近いのに?イギリスとフランス位なもんだぜ?」
ヨハン「いや、さすがに泳いではいけないだろう^^」
トニー「そっかぁ?あ、朝鮮半島くらいなら行けんだろう?」
ジェームズ「だから、朝鮮は清と違うから…」
トニー「おんなじ様なもんジャン!」
ルイ「頭違うじゃん!なんだよ!?清人の頭!?辮髪だっけ?」
トニー「だからおんなじ様なもんじゃん!日本人の頭だって結構イカレてるぜ!」
ジェームズ「そうそう!こないだ乗船してきた日本人の頭な!」
ヨハン「テッペン禿を強調している割にその上に髪を束ねて乗っけてるんだよな。」
ジェームズ「あのチョンマゲってヤツだろ?クレイジーだよ!」
ルイ「若い奴等なんかわざわざ剃ってるんだぜ!なのに見せるか隠すかはっきりしろよなぁ。」
トニー「うっそぉ!?剃ってんの?生まれつきかと思った…。」
ルイ「だってこないだの漁師の男の頭は禿げてなかったじゃん。あれ剃ってるらしいよ。」
トニー「よく見てるなぁ。実はお前がその気になってたんだ…。」
ルイ「なってねぇよ!」
ヨハン「で、あの髪型でヘラヘラ笑いにビビッちゃったわけ?」
ジェームズ「なんかさぁ。得体が知れないっていうかさぁ。その清に滞在していた友達がね
    日本の連中は時々急におかしくなるから気を付けろって言うんだよ。」
ヨハン「なんだ、それ?」
ジェームズ「なんかその友人が清人から聞いた話しなんだけどサ、
     日本人は狂ってるっていうか、怖いんだと!」
ルイ「何それ?」
ジェームズ「その清人が朝鮮人から聞いた話なんだけど
      奴等は時々狂ったように殺戮の悪魔と化すらしいんだよ。」
トニー「嘘だよぉ!あのヘラヘラな猿みたいな連中が?」
ジェームズ「なんでも三百年くらい前に突然朝鮮に日本人が襲ってきて
      そこら辺皆殺しにして耳切り落として暴れまくったらしいよ。」
ヨハン「領土を巡る争いならヨーロッパ列強もやってた事だしあるんじゃないの?」
ジェームズ「そうね。ゲルマン人も突然やってきたし。」
トニー「でも耳削ぎ落とすって何のために?あ!悪魔の宗教だ!だからキリスト教も迫害したんだ!」
ルイ「あぁ、オランダの友人から聞いたけど、キリスト教迫害は凄かったらしいね。」
トニー「俺等も耳を削ぎ落とされるのかなぁ?」
ジェームズ「いや、俺も軍を差し向けたまでは有りがちだとは思ったんだけど耳はゾッとしたよ。
    でもそれよりも不可解なのは、その攻撃が何回かあったらぱったり止んで
    今度はお詫びの使者がやって来たんだと。」
ヨハン「え?お詫び?」
ジェームズ「そう。急に態度が変わって詫びを入れに来てお詫びをするから国交を回復しようって。」
ルイ「それで朝鮮はどうしたの?」
ジェームズ「よくわからんが、その申し出を受け入れて国交回復したんだと。」
トニー「悪魔にとり付かれているんだよ…。絶対!」
ジェームズ「そしたら急に鎖国して、一部の人間しか外国人は日本と接触不可能になったんだって。
      なんかわけわかんないだろう?やる事が!?」
トニー「絶対悪魔教かなんかに支配されたな…。イエズス会は何やってたんだ?」
ルイ「そういや、昔…六百年位前か?モンゴルの連中が地中海近くまで攻めてきただろう?」
トニー「あぁ、婆ちゃんに聞いたことある、その話。」
ルイ「あのモンゴルの軍勢が日本を攻めようとしたんだけど
    どんな魔法を使ったんだか突然突風が吹いてモンゴル軍を撃退したらしいよ。」
ジェームズ「まさか!」
ルイ「ホントらしいぜ。噂だけど。」
ヨハン「ハリケーンかなんかじゃないの?非科学的だよ魔法だなんて。」
トニー「いや、悪魔教だ!黒魔法だ!邪教の技だ!そういや魚を生で喰うらしいぞ!」
ルイ「でも中世じゃあるまいしなぁ…。」
ジェームズ「だからそれ聞いてたから、ヘラヘラ笑っていても不気味なんだよ。
    何考えてるかわかんないじゃん!」
トニー「こえぇ!」
ルイ「何考えてるのかわからないのは言えてるよなぁ。」
ジェームズ「東洋の中でも清や他の国はなんとなくわかるんだけど日本だけ謎の国なんだと。」
ヨハン「油断させておいて、罠でもはっているのか…。」
ルイ「ペリー提督、何時までここに居座る気なんだろう?」
トニー「気をつけろって知らせた方がいいんじゃない?俺、今晩神に祈って寝よ。」
ジェームズ「最近夜も寝られないんだよなぁ…。」


浦賀湾に停泊している黒船の船底で四人のアメリカ人水夫の会話…。
虚実入り混じった情報に彼等の頭の中は妄想が膨らみ
悪魔を崇拝する邪教の国の幻影に怯え、それから帽子で耳を隠し眠るようになった…。


※朝鮮とは李氏朝鮮の事です。

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銀妹へ

「欧米か!?」の西洋人にとっては
東洋ってだけで全く異文化なのに中でも江戸時代鎖国していて
海に囲まれて近隣諸国からもなかなか覗き見るって事が出来なかった日本って
特に謎めいた存在だったんじゃないかなぁ?なんてそんな事を考えちゃったのでした。

ブハハハ、なんとアカデミックな妄想劇!下ネタがないのが素晴らしい~。

そういえば、エリザベス女王夫妻が初めて中国を訪れた時、女王のダンナが「○国人はみんな狐みたいな目をしていて、気味が悪い」と不適切発言をしたんですよね~(汗)
プロフィール

どぅいちゃん

Author:どぅいちゃん
『射雕英雄伝』を見て武侠の世界に嵌りました。
パパこと東邪・黄薬師に心を奪われ、それ以来武侠の「イカレオジ専」担当です。
リアルな武侠仲間がいないのを憂いて、ゲリラ的に武侠布教活動を行っております。

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